仕事や家でもいつも座ってばかりいた人が急に立てなくなり、歩けなくなったしまった(病気でも、怪我をしたわけでもない)ので、脚の筋肉をつけるために筋トレさせようと思うが、どんなことをしたらいいのか?と相談されました。
そういった人が再び歩けるようになるためには脚の筋力を取り戻すことだと考えて筋トレを始めるというパターンが多いですが、筋力を高めれば歩けるようになるとは限りません。
実際、脚(太もも)の筋肉を鍛えるエクササイズをしたり、座ったまま電気刺激で足・脚の筋肉を刺激できる器具を使ったり、杖を使って歩いたりなど、いろんなことをやったが以前のように元気に歩けるようになったという話は耳にしません。(同じように悪化したという話も聞きません)
脚の筋力が低下したから歩けなくなったということであれば、筋力を取り戻せば歩くことはできますが、きちんと歩ける(杖なしでスムーズに歩ける)ようになるには、筋力だけでは足りません。
歩くというのは、前提として、立った状態で移動する動作です。
しかも、“片足が地面に着いた状態”で移動していきます。
歩けるようになるためには、
・二本脚でちゃんと立つことができる(中間位・中間姿勢)
・片足できちんと体重支持できる
ということが求められます。
脚(太もも)の筋肉を鍛えてもきちんと立てるようになる保証はありません。立てない人が行う脚の筋力強化のエクササイズで多いのが、脚に重りを付けて膝を曲げ伸ばしする(膝下を地面から浮かせて行う)ものです。
太ももの筋肉を強化するという面で考えると無駄ではありませんが、立つ・歩くということを考えるとこれでは目的を達成することは難しいでしょう。
その理由は、“脚の使い方”です。
立つ・歩くというのは、足を地面に付けた状態で行います。脚を動かす時には、上半身(体幹)側を動かします。
それなのにエクササイズは上半身(体幹)を固定して脚の方を宙に浮かせて動かす。このやり方で筋力を高めても、立った状態にはほとんど役に立ちません。
立つ・歩くためというのであれば、立った状態で行うことです。
脚の筋力が低下して自分の脚で立てないというのであれば、歩行器などにつかまってでもいいから立って行う(ただ立っておくだけでもいいし、浅いスクワットでもいい)ことです。
脚の使い方という点で見ると、杖を持って歩くというのは実践的な運動のように思えますが、これも杖を持った“歩き方”が問題です。
杖を持って歩く人のほとんどは1本(片杖)です。
1本ということは、いつも同じ方にしか体重支持しないということです。普通に歩くには、右→左と順番に体重支持しながら進んでいきます。
ということは、片方だけでは足りません。だからいつまでも杖なしで歩けないのです。
できれば両方に杖を持って歩く(その方がバランスが取りやすい)方が良いですが、片杖しかできないのであれば、いつも同じ方ばかりにせず、反対も行うようにするということを入れてみることです。
たったそれだけでも歩きやすくなるはずです。
立てない・歩けなくなってから強化を考えるならこういったことが必要ですが、そもそも日頃から頻繁に立ち上がったり、歩いていれば、立つ・歩くに必要な筋力が低下することもありません。
基本的なことですが「予防」が大切です。
