からだを整える

からだを整える

世間では筋肉を付けるために筋トレ、呼吸循環系を強くするためにウォーキングやランニングのような有酸素運動をするよう勧めます。
そういった運動は筋肉を強くしたり心臓や肺の機能を改善する“方法”であって「目的」ではありません。
筋肉が強くなったり心臓や肺の機能が改善したら猫背が直ったり、腰や膝の痛みが治るわけではありません。

運動の大きな目的は「健康なからだ」を手に入れること、そして身体に何の問題もなく毎日を元気に過ごすことです。
健康なからだは筋肉や心臓、肺が強いことではなく、正常に働くことです。

現代の大きな問題は筋肉や関節に大きなストレスをかけすぎている、それらが正常に動かない、動きにくいことです。
肩こりや腰痛、ひざ痛、股関節痛など様々なからだの不調に悩む人のほとんどが日常生活での癖によって猫背や反り腰、O脚やX脚といった姿勢の崩れや体幹の捻じれが見られます。
また過度のストレスによって自律神経のバランスが乱れ、血液の循環が悪くなることで低体温・低酸素状態になってしまい頭痛や便秘といった不調を引き起こしているケースもあります。
こういった痛みやからだの不調を抱えていては毎日を健康で元気に送れなくなってしまいます。

正常なからだの状態を取り戻すことが運動の目的になってきます。

そのために頑張ってきついこと、しんどいこと運動をする必要はありません。
楽で快適にからだを動かすことです。

単に筋肉が柔らかい、骨や関節の動きが良いというだけでなく、血液やリンパといった体液や自律神経といった体の内側まで整え、本来のからだの状態を取り戻していきます。

○自然なからだの状態とは?

・皮膚、筋膜、筋肉が柔らかく、弾力性があり、復元力がある

・血液、リンパといった体液の良い循環が保たれている

・神経がきちんと通っている

・呼吸がきちんとできる(肋骨が十分に動く)

・自律神経のバランスが取れている

・適切な体温が保てている

・重力に対して楽にからだが動かせる

からだを整えるトレーニング

私のトレーニングで目指すのはリラックスしたカラダです。
緊張のない状態、骨に筋肉がついているだけの状態というイメージです。
その時の皮膚、筋膜、筋肉は弾力があり柔らかく、復元力もあります。
これらに余計な緊張がなければ関節は“あそび”があり可動性も良いはずです。
そういう状態だと体は楽に大きく動かせます。

一方で姿勢が崩れている状態はこれらの組織が緊張し硬くなってしまいます。
だからトレーニングではこれらの組織の緊張をゆるめて柔軟性を取り戻ししていきます。

従来の筋肉を鍛えるトレーニングでは大きな重りを使って筋肉に大きなストレスを与えて筋肉を太くし、筋肉量・筋力アップの効果を期待しますが、このトレーニングは筋肉の質を向上させるのが目的のトレーニングです。

そのため、大きな重りを使わず、自分の手脚やからだの重さを負荷にして呼吸に合わせて動かしていきます。
スムーズに動かし筋肉のポンプ機能を利用して筋肉の膨らみ、弾力性を取り戻していきます。
やるのはスクワットや腹筋運動といった筋トレのエクササイズではなく、誰もが当たり前にできる、腕を上げたり脚を曲げ伸ばしするといった基本的な動作です。
スポーツのような運動が得意ではない方やトレーニング経験のない方でも問題なく行うことができます。

力まず骨や関節をスムーズに動かし続けることで筋肉の中にしっかり酸素を取り込み、元々持っている膨らみに戻すことで筋肉中の血流が良くなります。
反射・反動を利用して筋肉を動かせば筋肉が熱を産生し体温が上がりますし、筋トレをした時と同じように筋肉は膨らみます。

従来のトレーニングと違って、きついこと辛いことを頑張ったり筋肉痛に悩まされることもありません。
必要なのは「楽に、スムーズにやること」、「リラックス」です。
気持ち良く体を動かしているのにからだのバランスが整う、関節や筋肉を良い状態になるので力みのないリラックスした良い立ち姿勢ができるようになります。

トレーニングの効果

◆弾力のある筋肉にすることで柔軟性だけでなく動きも柔らかくなる

地球で生活する私たちは常に『1G』の重力を受けながら生活しています。
ですが、姿勢が崩れたりゆがみのある状態で生活していると重力がからだの一部ばかりにかかるようになると筋肉がカチコチに固まっているところもあればたるんでしまっているところもある、筋肉の緊張のバランスが崩れたからだになってしまいます。

筋肉は使い過ぎても使わなくても萎んでしまいます。
筋肉が萎んでしまうと血流が悪くなってからだが冷えて代謝が下がってしまい、肩こりや腰・膝の痛みを引き起こします。
一般的には重いダンベルやバーベルを使ったウェイトトレーニングで筋肉をつけて骨や関節を保護することが効果的と言われています。

しかし、血流が悪くなり萎んでしまっている筋肉をいくら鍛えても血流が良くなったり、筋肉が大きくなったり強くなることはありません。
そこで崩れたからだのバランスを整えるトレーニングを行うことでからだの捻じれ姿勢の崩れを直すことができます。

硬くなった筋肉は緩めて、たるんでしまっている筋肉は使うことで血流やリンパなどの循環を良くして弾力のある筋肉を作っていきます。
そうしてゆがみ、固まっていた関節の動きを改善することで肩こりや腰・膝の痛みを軽減・改善することもできます。

◆トレーニングが終わった後にからだが軽くなって爽快感がある

筋肉を増やして基礎代謝を上げるためにはしっかり力を出し切るまで行うことが大切です。
従来の筋肉を鍛えるトレーニングはただきついことを何回も繰り返すだけなので終わった後に辛さしか残りません。
辛いこと、きついだけだからトレーニングを続けることができずにリタイアしてしまえばいつまで経っても身体が変わりません。

しかし、からだを整えるトレーニングではエクササイズをした後の方がさらに姿勢やからだのバランスが良くなります。

血流も良くなり筋肉がさらに良い状態になるので、身体が軽くなり爽快感が出てきます。
そういったトレーニングはつらさが全くないのでトレーニングを続けやすくなり、からだもきちんと変わってきます。

◆筋肉痛が起きない

従来の筋肉を鍛えるウェイトトレーニングでは翌日に筋肉痛が起こります。
トレーニングに慣れていない人にとって一番辛いのがこの筋肉痛です。

しかし、からだを整えるトレーニングは楽に、スムーズに、軽く、気持ち良く体を動かすだけなので筋肉痛が出ることもありません。
それで筋肉や関節が良い状態になり、姿勢やからだのバランスも良くなります。
それでいて結果もちゃんと出ます。

身体のコンディションを整えてスポーツパフォーマンスもアップ

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スポーツの実際のゲームでは自分が持っている最高のパフォーマンスを発揮することが目標になります。

最高のパフォーマンスを発揮するためには高い技術・テクニックを身につけなければいけません。
この技術・テクニックを身につけるために身体的コンディション(筋力、持久力、スピード、調整力、柔軟性)がベースになります。
身体的能力のレベルが低ければ技術やテクニックの獲得が難しいということです。

そのために身体的なコンディションを整えることが重要になってきます。
この身体的コンディションを整える、高めるための方法が、「トレーニング」になります。
そして実際のスポーツの技術・テクニックを習得することが練習になります。

トレーニングは、筋力・持久力・スピード・柔軟性・調整力といった能力をバランスよくレベルアップさせることが体力づくりです。

最近はアスリートが筋トレをしたのにパフォーマンスに繋がらないと「筋トレでつけた筋肉は実際のプレイでは使えない」、「筋トレをすると筋肉や体が硬くなる」と言われますが、ウェイトトレーニングで筋力づくりだけに励んでしまうと身体的コンディションのバランスが崩れてしまいます。
筋トレで筋力を高めたのに実際のスポーツパフォーマンスに繋がらないのは筋力のレベルだけがアップしてそれ以外の能力が変わっていないからです。

全ての能力をバランスよく強化し、レベルアップをしていかないといけないわけです。
特に柔軟性、スピード、調整力(体の使い方)というものはあまり意識されていません。
一般的には柔軟性というとケガをしないため、疲労回復のためにくらいで軽く考えられ、いい加減にやられがちですが、筋肉が『大きく・スムーズに・素早く』伸び縮みすることで大きな力を発揮できます。
それなら硬い筋肉よりも柔らかい筋肉をしている方が良いということがわかります。

スピードや調整力(体の使い方)に関しては、筋肉が発達しているのに動きの遅い人の問題は筋肉にあるのではなく、『動作が下手で力をうまく発揮できていない』だけです。

いくら大きな力を出せる筋肉を持っていても、体の使い方に問題があれば高めた筋力が実際の動作で役に立たないのは当然のことです。

現在、ゴルフや市民ランナーがトレーニングを受けに来られていますが、トレーニングではウェイトトレーニングだけでなく“動作のやり方”のトレーニングまで行います。
ゴルフスイングでは、「腰を楽にスムーズに回転させる」、「バックスイングの可動性を大きくする」体の使い方というものがあります。
そういう動作のやり方を身につけると今までの70%くらいの力で振ってもドライバーの飛距離が10~15yrdは伸びています。

ランニングでも「スムーズな走り方」を身につけるだけで楽に走っているのにランニングスピードが上がり、タイム短縮といった効果も現れています。

競技パフォーマンスを高めるためのトレーニングでも筋力だけでなく、競技に必要な要素を高いレベルで整える、バランスよく高めることが重要になってきます。