投球動作についてー理想的なスローイング動作とは?

理想的というのは一番楽にからだが使える、そして一番楽にボールにスピードと力が伝えられることです。
からだの大きさや形は一人一人違いますが、使い方には共通のものがあります。
下半身→骨盤→体幹→肩→肘→手首→手の指というように動く順序は決まっています。
自然な動きが出来なかったり、動かす手順を間違えてしまうと無理が起こり、うまくできません。

・慣性の法則を利用する
投げる動作では慣性の法則が使われます。
脚を上げる局面では位置エネルギーを蓄えます。
軸脚にからだの全てのエネルギーを集めるため、重心を高くすると位置エネルギーが大きくなります。
次にそのエネルギーを前方へ移動させ、運動エネルギーに変換します。
この時に慣性の法則を使うことになります。
重心を前方へ移動することで速度が生まれ、自然にエネルギーは前方へ伝わっていきます。
そこにプレートを押す力を加えれば加速度が生じます。
「立つ→前方へ移動する」それだけのことです。
これで投球スピードの大半が決まると言われています。

・姿勢反射を利用する
姿勢反射は自分の潜在能力を引き出すために必要不可欠なものです。
姿勢反射には、顔が向いた方向の腕は伸ばしやすく反対の腕は曲げやすいということがあります。
投げる方向を向いていれば投球する方の腕の肘は自然に曲がります。
投球方向にグラブを向けたり、肘や肩を出しても構いません。
それだけで肘は肩の高さにきます。

他には頸反射も大切です。
投げる時はずっとミットを見ておかないとコントロールが乱れるように思われますが、ずっと見ているとリリースで大きな力を発揮することができません。
実際には体重移動してリリースの時に方向は決まるのでずっと見ておく必要はありません。
リリースの時に前を向いているデメリットは腕を対角方向に巻きこめなくなります。
顎を感覚的に引くくらいで力が入り、リリースした後、フォロースルーで腕が対角方向に巻きこまれます。
上目遣いで投球方向を向くくらいで十分です。

・キネマティックチェインを使う
キネマティックチェインというのは投げるときのリリースポイントで全身の筋肉が一瞬にして同時に力を出せるようにするということです。
全身の筋肉は頭から足先まで繋がっています、
投げる時は手や腕だけでなくからだの全ての筋肉を同時に収縮させることで一番大きな力を出すことができます。
投げる瞬間に最大の力が必要で、それ以外の時には力はいりません。
力を抜いて投げるというのは力を抜いておくと一番大事なタイミング、ポイントで力を入れることができるからです。
最初から力を入れておくと力を出せる範囲が短くなり、力を抜いていると力を出せる範囲が長くなります。
力を抜いた状態から最適なタイミングで力が入ると最大のエネルギーを集積して伝えることができます。

このキネマティックチェインを意識する最大のポイントは体幹です。
ボールをリリースする瞬間は肩や腕に力を入れるのではなく「お腹」に力を入れます。
一番力が出るのは前に力を加える時に反対側の腰を少し戻すように使うことです。
作用・反作用の原理を使って腰を引きます。
これには体幹の力が必要です。
腹筋の力はもちろんですが、それを生かすために背筋力も必要になります。

こういうからだの使い方をすればたくさん数を投げても肩や肘の張りも少なく抑えることができます。
持久力が必要なのは肩や肘だけでなく、体幹もです。
体幹の力が弱いと腕に頼って投げるので肩や肘にストレスを受け、故障のリスクが高くなります。

・速度加重の原則を使う
ボールを投げる時の一番大きなエネルギーは下半身の動きから生まれます。
次に体幹の捻じれを使い、その次に肩、肘、手首、手の指という順番に関節を動かしていきます。
速度加重とは、一つ一つの関節の動きが終わるごとにスピードが加速されることを言います。
各関節の動きを連動させながら順序よく使っていけばスムーズな動きに見えます。
しかし、うまく連動できていないとギクシャクした動きに見えます。
ブレーキがかかった動きはボールのスピードにも影響します。

スピードが出ない投手のほとんどはこの連動が適切な順序で行われていないと考えられます。