「インターハイ出場選手のサポート託されました」の回

先日から全国高校総体の陸上競技が岡山で行われています。
昨日は100mが行われるということで会場も大賑わいでした。

今回、関西を代表するトレーナーの高津さんが指導している選手が4×100mリレーに出場し、それが偶然にも岡山だということで仕事で忙しくされている高津さんの代わりに選手のウォーミングアップを任されることになりました。


とは言っても陸上を専門にやっていたわけでもないので、細かい技術の指導というよりも走っている姿、動きづくりの練習をしているところを見て、教わった動きをきちんとやろうという意識が強すぎて「意識してやろうとしている」感じが伝わってきて少し気になったのでその辺りをアドバイスさせてもらいました。

・楽に立つ
楽に立つというのは言葉にするとシンプルですが、案外難しいものです。
ランニング姿勢の良い人は歩き姿勢も良く、歩き姿勢が良いと立ち方もいいのですが、立ち姿勢が悪い人で歩き姿勢やランニング姿勢が良い人はほとんど見かけません。
トップアスリートになると立ち方、歩き方も美しく、見ていても引き込まれます。

『骨で立つ』自然な良い姿勢の時には筋肉はリラックスしていて緩んでいますが、良い姿勢で立とうと意識してもそれは作られた姿勢です。
意識は筋肉を緊張させるのでそういう姿勢で立っていても体の軽さ、立つことの気持ち良さを感じることはありません。
きちんと足裏の3点支持で立つと自然な良い姿勢ができるので、今回は小道具を使って骨で立つ自然な良い姿勢の感覚をインプットを試してみました。

・フラット着地
速く走るためには自分の力だけでなく地球の力を借りることも必要です。
代表的なものが地面からの反発です。
地面に対して真下に踏み込む時には体重の4〜5倍の力が返ってきます。
そしてそれは体を斜め前方向への力です。
つまり、それをうまく活用すれば楽に体を速く遠くへ運べるわけです。
しかし、フラットに着地できなければそれを上手くもらうことはできません。
反発をもらいに行ってもやはり作った動きなので自然な動作とは違うのでその恩恵を受けることはできません。

また、フラット着地はジョギングくらいのスピードなら意識してできますが、100mを10秒台で走るくらいのスピードでは脚の回転速度が速いのでフラットに着地することができないので、『フラットに着地する感覚』が大切になってきます。
そこでフラット着地を意識するのではなく、どうやってもフラットにしか着地できないように脳にインプットするやり方を試してみました。

・スピードは加速的に上がっていく
陸上ではスピードが遅いよりも速い方が良いに決まっています。
しかし、スピードは上げようと思っても上がりません。
スピードは加速的に上がっていきます。
スプリントで大切になってくるのが「6歩の加速」です。

6歩で加速してスピードに乗って、その加速でどこまで速く遠くへ行けるかがポイントなのでスタンディングスタートから6歩でスピードに乗ったら上体の前傾の角度、脚の巻き上げる大きさを変えずにフォローしていくというのをやってみました。

本番のレースでは動きがスムーズになって気持ち良く体が進んでいるような感じが出て、彼が持っている本来の力が十分に発揮できた良い走りだったように思います。

もともと指導している人の指導レベルが高いですし、彼自身の理解力と修正力の高さ、貪欲さも素晴らしいですからね。
私はほんの少し考え方を整理するお手伝いをしただけです。

それでも滅多にない地元開催の全国大会を見るだけでもいろいろ参考になっていますが参加する選手の練習に携わることができたのは非常に貴重な経験でした。