走る動作の基本的な考え方について書いてみます。
速く走るには、
⚪︎腕(上肢)を適切に動かす-前方へ振る
⚪︎脚(下肢)を適切に動かす-後方に運ぶ(股関節の伸展)
といったことを行うことです。
硬い体幹を作ったり、膝・足首のような部分の強化をしても腕が適切に振れたり、股関節が適切に動くとは限りません。むしろバランスが悪くなってパフォーマンスが下がってしまうことも考えられます。
もっと基本的なことを言えば、崩れたからだ(捻じれ・傾き)で前に移動しようとすると、蛇行してしまいます。距離も余計に長く走ることになり、それだけで遅くなってしまいます。また、崩れたからだで移動すれば当然、からだのどこかに異常が起きます。走る動作も立って移動しますから、まずは中間位・中間姿勢できちんと立てないといけません。
腕振りは肩関節の自然な動きで上腕骨がスイングすると、腕だけでなく、肩・背中・胸の筋肉が連動し、協働して働きますがらからだのバランスの崩れていると腕が横に振れるなど捻じれた腕振りになってしまいます。
捻じれた腕振りが首・背中・胸・腰にまで影響を及ぼします。
捻じれた腕振りになっているのはからだが崩れているか、腕の振り方が悪いのかが考えられますが、いずれにしても中間位・中間姿勢を取り戻し適切な腕のスイングを脳に認識させることが大事です。
腕が自然に振れない原因の1つに上肢の捻じれがあります。
日常で手を使う作業を行う時には前腕を回内(内捻り)し、肘が曲がった状態で使っていることが多い。
上肢の捻じれは首の筋肉を緊張させてしまいます。
首を中間位に保持できないことは脊柱の繋がりで背中や腰、臀部の筋肉を緊張させ体幹のバランスが崩れ、さらにそれを支える下肢のバランスの崩れも招いてしまいます。
基本的に歩く・走る動作では股関節の伸展動作によって重心が前方へ移動します。
この時、足は地面に着いた状態なので脚を後方へ持っていって股関節を伸展することはできません。
股関節が伸展するから重心・からだが前方へ移動するのではなく、重心・からだを前に進めたいという意識があって股関節が伸展されるということです。
膝関節・足関節は、股関節の動きに従って動くので、主をきちんとすることが大切です。
下肢は股関節→膝関節→足関節と連動しているので、別々に動かして強化するものではありません。常に、全体が連動して動いているので単独の関節だけでは移動できません。
股関節が伸展するときに、大臀筋がメインで働きます。
そして同時に股関節と膝関節に作用する二関節筋のハムストリングスも働くので、大臀筋とハムストリングスが発達した下肢を持つことが重要となると考えられます。
大腿四頭筋は大臀筋とハムストリングスが効果的に使えるためのサポート筋であると考えます。
なので過度に発達させたり、メインで使うことは大臀筋・ハムストリングスの働きを制限してしまうと考えます。
足関節の動きもメインは背屈(曲げる)・底屈(伸ばす)ではなく、足趾の伸展・屈曲動作がからだ・重心を前進させる力を発揮するところなので下腿三頭筋の深層にある足趾の屈筋(長・短趾屈筋)が重要になります。
すなわち、足部の構造が整い、弾力性のある足部・足趾であることが重要です。
大腿部・膝を持ち上げる股関節屈筋(腸腰筋・大腿直筋)は、走るための主働筋ではなく、股関節を伸展する・重心を前方へ移動させる股関節の伸筋(大臀筋・ハムストリングス)が主働筋であり、拮抗筋である腸腰筋・大腿直筋は主働筋が収縮することによって伸張され、その伸張反射によって屈曲・収縮する筋肉です。
腸腰筋・大腿直筋は、股関節を伸展した後の戻りの動作・動き(屈曲)を担っていると考えます。
からだの後面に付いている筋肉がからだを前方へ移動させるために働いている・働くようになっている、前面に付いている筋肉は前方への移動をやめたり・止めたり、後方に移動するために働いている・働くようになっているのではないかと考えます。
走る動作は、基本的には股関節・大腿骨の振り子(スイング)動作で行われていて、後方へも前方へも戻り動作は伸張反射が使われています。
これを自然に行えることがピッチになります。ピッチは自分で作るものではなく、自然に振り子運動ができるからで、故意にピッチを速めようとすると動きの緊張が起こり、動きを制限してしまいます。それによってストライドにも影響が出てしまいます。
繰り返し動作は意識的に筋を収縮させて行うことではありません。
それは筋肉の疲労を招いてしまいます。特に長距離を走る場合は重要なことです。
そういったことからもX脚やO脚といった脚の捻じれや扁平足のような足部の崩れがあると下肢や足部・足趾の適切な動きができません。
中間位・中間姿勢を体得しておかなければパフォーマンスは上がりません。
パフォーマンスが上がらない・改善しないということは、からだのバランスが崩れていることも原因です。
走る前の準備として、中間位・中間姿勢を体得することです。中間位・中間姿勢を獲得するには、からだを整えることです。
全身の筋肉の緊張度を50:50のバランスのとれた状態にする。次に中間位・中間姿勢でのイスからの立ち上がり、そしてデッドリフト動作ができるようにする。これらができれば適切な歩行ができるようになるので、歩行を習得する。
基本としてのからだができ、適切な歩行が習得できてからジョッグ・ランニング・スプリントといったスキルの練習をしていく。そうすれば動作・フォームも適切なものになりパフォーマンスは改善されると考えられます。
