今回は良い姿勢で長く立っていられないという相談。
意識している時は良い姿勢でいられるが気がついたらまた姿勢が崩れてしまっているとのこと。
年齢による筋力の低下が原因ではないかと思っているようでした。
まず身体の状態をチェックしてみると、
・良い姿勢をしようと全身が緊張している
・肩を後ろに引き、胸を張り、肩甲骨を寄せている
・反り腰
・首は前に倒れ、頭は前に出ている
・肩、腰が左右で高さが違う
・腕は捻じれ、肘がきちんと伸ばせない
・巻き肩気味
・O脚気味
・膝は伸びているが股関節は曲がっている
・足のアーチの低下
・足の指が曲がっている、外反母趾がある
といったことが見られました。
問題の原因は、元々日常生活での癖によって全身が捻じれたり傾いていたうえに胸を張り、背筋を伸ばし、真っ直ぐ立とうという過剰な意識によるさらなる緊張によって全身の筋肉の緊張度のバランスが崩れてしまったことです。
問題を解決するにはからだの緊張をゆるめて筋肉の緊張度のバランスを整えることです。
まずは頭の位置を直すために首の緊張をゆるめる必要があります。
耳たぶを軽く引っ張って回してよく伸びる柔らかい耳に戻す、舌の動きを良くする、鼻の通りをよくして息がきちんと吸えるようにするなど顔のパーツの動きを良くすると首の緊張もゆるんで首の傾きや捻じれも直り、頭の位置も良くなりました。
腕の緊張、捻じれが首の緊張、体幹の緊張に繋がりますので、肘の曲げ伸ばし、前腕を内・外に回す、手首を動かす、手の指の曲げ伸ばしをスムーズにすると腕の緊張がゆるんで捻じれも直ってきちんと肘が伸ばせるようになりました。
腕の捻じれが直ると胸の緊張もゆるんで巻き肩も直りました。
肩甲帯(鎖骨、肩甲骨、上腕骨)のバランスの崩れは体幹の捻じれや傾きに繋がりますので、肩甲骨を上下に動かして体幹の緊張をゆるめたり、呼吸に合わせてバンザイのように腕を動かして肋骨を十分に動くようにして息が深くできるようにすると体幹の捻じれや傾きも直りました。
下半身は足の裏や足の指を動かして足のアーチや足の指を真っ直ぐに戻すと脛やふくらはぎ、太ももの緊張もゆるんで脚の捻じれや曲がりも直り真っ直ぐに伸ばして立てるようになりました。
全身の緊張をゆるめてみるときちんと立てるようになっていました。
あれこれ意識せず、ただリラックスして立っているだけなのに背中が丸くなったり脚が曲がることもなく良い姿勢で立てていることに驚いていました。
最後にしゃがむ-立つ、歩くといった日常生活動作での体の使い方を繰り返しました。
二本脚でバランス良く立つ感覚を掴む、維持するにはしゃがむ-立つ動作をきちんとやることですし、適切に歩くことでからだをゆるめて整えることもできます。
世姿勢を維持する目的で様々なトレーニングがいろいろありますが、重力に抗して楽に立てればいいのですから難しいことやきついことをやる必要はありません。
姿勢の崩れはバランスの崩れです。
バランスが崩れるのは支えるところが弱くなったからではありません。
バランスを取るために筋肉を鍛えるというのは適切な方法ではありません。
バランスは取るものですから崩れたものは戻してあげれば良いのです。