今回の定例勉強会のテーマは「体操や各種エクササイズの指導法」でした。
トレーナーは運動指導が主な仕事ですが、その指導法は学校でも学ぶことはありません。
本やネットでいろんなエクササイズを見つけることはできますが、多くは本や教科書に載っていること、誰かが言っていることの置き換えだったり自分ができる感覚を言っているだけで人の体はどう動くのか、どのような手順で行うのかといった動作について書いてあるものはまずありません。
ですから何度も同じテーマをやっていてもわかっているつもり、きちんとできていないことがたくさんあることに気づかされます。
・相手のわかっていないことを見抜き、わからせる
体操やエクササイズで一番大きな問題は「うまくできない」というものです。
手本を見せたり事細かに説明しても全然うまくいかないと体が硬いから、筋力が弱いからということにしてしまいます。
しかし、できないから教わりに来ているわけですからできないのは指導する側の問題です。
なぜできないのか?どうすればできるようになるのか?ということがわかっていないということです。
なぜできないのかということを見抜いていかなければいけませんが、ある動きをしてもらった時に即座に察知する必要があります。
例えば「あしを上げる」という動きをする時に、“あし”と言っても脚と足がありますし、股関節・膝・足首があります。
相手がどこを脚だと考えて動作をしようとしているのかを見る必要もあります。
また、上げるといっても脚は上には上がりません。前に出していくと上がっていきます。
そうなると方向の指示が不適切だったということが原因である可能性も出てきます。
できるように教えられない時はこういったことがわかっていない、動きがイメージできる言葉を使えていないからです。
わかればわかっていないことを相手にわからせると動きは変わっていきます。
例えばイスから立ち上がる動きを考えてみても、
上体を前後に軽く動かした時に膝が固定されない足の位置、上半身と脚の動きのリズム、足の裏に体重が乗る感覚、上半身の持っていく方向、足裏を地面に密着させる・・・など手順、体の使い方のチェックポイントはたくさんあります。
イスから立ち上がとうとした時に相手がどこがわかっていないのかを動きを見た時に察知し、1つ1つきちんと理解できるようにするだけで脚の力に頼る立ち上がり方から楽にスッと立ち上がれるようになります。
・声かけ、誘導
うまくできるようにするためにはサポート、誘導が重要です。
言葉がけは特に大切で相手の脳に理解できるよう、わかるような言葉を使うかといったところにレベルが現れます。
スクワット動作を先生が指導されているのを見ていてもかける言葉はわかりやすい、脳が理解しやすい、動きがイメージできる言葉です。
たくさんのことを言わなくても簡単に変わります。
見ている方は魔法でも使ったのかと思うくらいです。
さらにそこに触れる、タッチをプラスすることで短時間で動きが変わります。
スムーズな動きで繰り返しますからそれなりの回数を行なっても相手は疲れや辛さを感じることもない。
終わった後は筋肉の弾力性も出てきて立ち姿勢や体とバランスといったものまで大きな変化が見られます。
・動きの左右差について
動きの左右差を改善しようと思った時に基準をどちらに合わせるのかをよく考える必要があります。
何も考えずただ同じようにやらせようとするだけではうまくいきません。
また、基準は勝手に決めるのではなく相手に合わせる必要があります。
そういったことからも相手をよく見ることが必要です。
また、そもそも左右差がある時は緊張を先に緩めてからやった方がやりやすいのではないかという発想はどうかとアドバイスされた時に緊張をゆるめるという目的でやっていたつもりが手段が目的化してしまっていたことに気づきました。
・捻りを使って体の捻じれを直す
ほとんどの人は体が崩れる時に曲がったり横に倒れたりではなく、捻じれで崩れます。
どうやって捻じれを解除するのかはいつも頭を悩ませるところではあります。
普段の指導の中で前屈や伸び、左右に倒したり、捻ったりという動きで直すというようなことをしていましたが今回体の捻じれを直すために捻じる動きを使うという考え方をやりました。
結果は抜群に良く、たった数回で背中の緊張も緩み、前屈などの動作にも変化が見られました。
普段やっていることもそれほど悪い結果ではありませんが、捻りを使って捻じれを直すという発想は自分にはなかったので良い結果に満足せずもっと簡単で良い結果になるものを考え、トライしていかなければと感じました。
・プッシュアップ、腹筋・背筋運動
個人的な質問でプッシュアップ、腹筋・背筋運動を挙げました。
腕を強化したり腹筋だけ背筋だけを強化するようなトレーニングではなく、全身をバランス良く使っていきたいと思ってエクササイズを選択したものの思うような結果が出なかったわけですが、手の向きや伸張反射、意識ポイントを手からお尻に変えて動作するといった変化だけで腕だけでなく体幹、全身と刺激ポイントが変わります。
体勢を変えてみたり、手や指の使い方を変えるだけで体幹360°がバランス良く刺激することができますし、壁やチューブを使うことで下半身全体を刺激する運動に応用できます。
まだまだ型から抜けられない、頭の硬さを痛感しました。
その他にもいろいろトレーニング指導に関するヒント、気づきをたくさんいただくことができ充実した時間になりました。