骨密度が低いとちょっとしたことで骨折してしまう。
脚を骨折すると寝たきりになる。
寝たきりになると認知症のリスクが高まる。
と言われています。
年配のクライアントさんでも骨密度を気にする方が多いですが、一般の人が骨密度を高くするためにすることは「カルシウムをたくさん摂取する」です。
たしかにカルシウムも必要ですが、カルシウムを摂るだけで骨が強くなるということはまずありません。
タンパク質をたくさん摂れば筋肉が大きくなるというのと似たような発想ですが、プロテインを飲むだけで筋肉が大きくなるようなことはありません。
筋肉や骨は常に分解と合成を繰り返しています。今太さが変わらないのは分解と合成のバランスがちょうど取れているからです。
重力がゼロに近づくにつれて分解が合成を上回るようになります。そうすると筋肉は萎縮し、骨は中身がスカスカになっていきます。
筋肉が萎縮してしまわないようにするには「トレーニング」で筋肉に刺激を与えるように骨を強くするにも刺激が必要ということです。
特に重要なのが“重力負荷”です。
骨密度が低いという人の多くはデスクワークのようなずっと座ったままで作業をしているような人です。
座っている時は立っている時に比べると重力が少なくなります。
しかも座っている時は左右の坐骨で体の重さを支持するので脚にはそれほど負荷がかかりません。
なので太ももの骨の骨密度はどんどん低くなってしまう可能性が高いのです。
運動というと一番ポピュラーなのが「ウォーキング」ですが、ウォーキングの接地の時の衝撃は約1.3Gと言われています。
普通に歩ける人がたくさん歩いても筋肉が大きくならないように問題なく歩ける人が歩いたところでさほど高い効果は期待できません。
骨密度を高めるために必要な運動は「しゃがむ立つ」です。
下半身の代表的な筋トレはスクワットですが、スクワットはしゃがんで立ち上がる動きです。
トレーニング指導をしている人でもほとんどの人は歩けますが、しゃがむ立つの動きは体力のある・なしで大きな違いが見られます。
体力レベルの低い人は低いイスから立ち上がったり座っていくことができません。
逆に元気な人は楽々お尻を一番低いところまで沈められますし、そこから楽々立ち上がっていきます。
年齢も関係ありません。
80代でも深くしゃがめる方はいますし、それより若いのにしゃがめない人もいます。
立ち上がる時には全体重が両脚にかかりますから体幹から太もも、足の裏までほぼ全ての骨に重力負荷がかかります。
それを毎日何度も繰り返して行っていけば自然と骨も強くなっていきます。
わざわざ運動する時間がないと言うなら、30分に1回イスから立ち上がってちょっと歩いてまた座るというのをやれば起きている時間で30回くらいスクワットを行うことになります。運動というと1度にたくさんの回数をやることを考える人も多いですが、「頻度」、1回でいいから何遍も繰り返すということもトレーニングの大事な要素です。
階段の下りの接地の衝撃は体重の2〜3倍とも言われます。
足裏全体で満遍なく接地の衝撃を受けるようなことをしても骨は強くできます。
体を動かすという人間なら当たり前のことを当たり前のように続けていればそれに必要な体の強さ、骨の強さはきちんと維持できる。
わざわざ変わったことをする必要はないということです。