腕だけで投げるフォームを全身を使ったピッチングフォームに直すにはどうしたらいい?


今年から高校1年生の球児の指導も始めました。ピッチングでは球速はMAX138km/hをマークしましたが、初速と終速の差が10km/hもある、コントロールも安定しないという課題があります。

ピッチングフォームを見ると上半身の力だけで思いきりボールを投げてしまっています。投げるというのは下半身で生んだ力を体幹→腕→ボールへと伝えていくものです。

投げるボールのスピードの60%が下半身から生まれる力で決まるとも言われますから下半身も使ったピッチングフォームに修正する必要があります。

下半身の使い方では脚を上げて片脚一本できちんと立つ→移動する→接地の仕方を見直しました。

ピッチングではまず片脚一本で立つ、“タメ”を作るところから始まります。ここでは軸足を真っ直ぐに伸ばして立つような指導がよく行われますが、タメとは「体重を乗せる」ことです。
真っ直ぐに伸ばした脚では体重をうまく乗せる感覚が生まれません。
また、ボールを投げに行く時にも下半身をうまく使えない原因にもなります。
片脚一本で立った時は股関節、膝を適度にゆるめてバランス良く立つことを心がけます。そうすると自然にタメが生まれます。

ボールを投げに行く時には「内転筋を使って」というようなことが言われますが、いくら意識しても使い方がわかっていなければできません。
ここではプレートの使い方がポイントになります。
ほとんどの人はプレートに対して脚を平行に置くだけですがそれでは大きな力を生むことはできません。
大きな力を生むためにはプレートを“押す”必要があります。
その反動を利用して前に勢いよく体重移動します。
この時の力がボールに勢いを与えるために大事な力になります。
プレートに対しての足の置き方、プレートをプッシュする感覚だけで自然と内転筋も使われます。
このプッシュの時に適度に股関節・膝がゆるんだ状態が必要なのです。
真っ直ぐの脚だとプッシュがうまくできません。
軽く曲がった状態から膝・股関節が伸ばされるくらいしっかりプッシュすることで大きな力が生まれます。

体重移動の後は着地していきますが、この後に捻りを使って腕を加速させていきます。
足の着く位置、つま先の向きといった接地の仕方がマズイと“膝が割れる”ようになってしまいうまく体幹の捻る動作ができず、ボールに力を伝えることができません。
一般的には「つま先をキャッチャー方向に向ける」と言われますが、つま先を真っ直ぐに向ける、軸足に対して平行に足を出していくとターンする時に上体は後ろに倒れるような動きになってしまいますし、膝も割れてしまいボールをリリースすると右バッターのインハイに抜けてしまったり手先で投げる方向を修正しようとすると引っ掛けるようになってしまいコントロールが乱れてしまいます。
しかし、つま先の向きを少し内にするだけできちんとストップできるようになり体幹の捻りができるようになります。

後は投げる方向を決める時に体のどこを投げる方向に持っていくか、自分にとって一番やりやすいところをもう一度見直してみる。こういった部分を今回は見直してみました。
シャドーピッチングをしてみても上半身や腕の力みも抜け、ボールのリリースのタイミングで良い音が鳴るようになりました。
肩や肘の張りのようなものもなく、むしろ緊張がゆるんで筋肉の弾力性が出てきました。

こういった投げ方で投げればボールも狙ったところに行くようになりコントロールも安定すると思いますし、バッターに近いところでもボールのスピードがあまり落ちなくなるのではないかと思います。
そして体が出来てくるに従ってもっとボールのスピードも出てくるようになるのではないかと思います。

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