「最近小さな段差でよくつまずくんです。脚の筋肉が弱いからでしょうか?」という相談がよく来ます。
そういう方の多くが脚が上がっていないからと脚を高く上げる運動で太ももの筋肉を鍛えようとしますが、大事な前提を忘れています。
反対の脚を上げている時、必ずもう一方の脚が自分の体の重さを支えているということを。
歩くという動作、階段を昇るという動作を考えてみても必ず片脚で自分の体の重さを支える場面が出てきます。
片脚一本になるとグラグラしてバランスが崩れてしまうのに脚を高く上げるというのは難しいことです。
そういう相談をして来る人を見て共通して感じるのは脚の筋力の弱さよりも“片脚で立った時のバランスの悪さ”です。
問題の原因が筋力ではなく、バランスの悪さということですから筋肉を鍛えるようなハードなトレーニングは必要ないわけで、バランスがうまく取れるようにすればいいだけの話です。
立っている時、地面と接しているのは“足の裏”です。
足の裏には平衡感覚を司る固有受容器がたくさんあると言われています。
実際、そういう相談に来た人に足の裏を刺激するようなことをしてみると簡単に片脚一本で立った時のバランスが良くなります。
そうして歩いてみても楽に脚が上がり、つま先が地面に引っかかるような動作がなくなります。
階段を昇ってみても脚が軽く上がるようになります。
なんでもかんでも筋肉量、筋力の低下のせいにすると大変なことをしないといけなくなりますが、1つ1つ考えてみるともっと簡単なことで問題を解決することもできることもあるのです。