筋肉が少なくなると体を動かせなくなって寝たきりになる、歩く速度が遅くなると認知症のリスクが高まるということで世間では体幹や下半身も鍛えられるスクワットをやりましょうというような本が話題になっているようです。
自分の体や手脚を動かそうとしても重くて動かしにくいなどというと「筋肉がない」、「筋力が弱い」、「体幹が弱い」などと言って筋肉を衰えさせないよう、筋肉を付けるために一生懸命筋トレをしている風景をジムでも目にします。
筋肉がないと言ってもジムまでは自分の脚で立って、歩いて、階段を昇って来ているわけですから筋肉はあります。誰しも筋肉は付いています。
それなのに自分の体や手脚を動かすのが大変だという問題の原因は筋肉が少ない、弱いのではなく、筋肉が本来の役目、役割を果たせていないからです。
筋肉が持っている機能がきちんと発揮できれば重力に対して自分の体や手脚を楽に動かすのに十分な力は出ます。
そもそも健康に毎日を元気に暮らすために大きな筋肉は絶対に必要ありません。
重力に対して楽に立てる、歩ける、しゃがんで立ち上がれる、階段を昇り降りできれば十分です。
そしてその動作に必要な筋肉は日常生活の中でそういった動作をしていればレベルダウンすることはないはずです。
筋肉が本来の役割を十分果たせないのは緊張して硬くなっているからです。
筋肉が力を発揮するには本来持っている縮んで戻る動きができること、スムーズに動くことが必要ですが、緊張して硬くなっている筋肉ではそれが十分に果たせません。
だから力が弱いと感じるのです。
そういったケースでも筋肉の緊張をゆるめ、元の膨らみ、弾力を取り戻すトレーニングをすることで楽に自分の体の重さ、手脚の重さを扱うことができるようになります。
筋肉を鍛える、太くする前に、どういった筋肉、力が必要なのかといった目的や筋肉本来の役割をきちんと果たせているかといったことを見直してみることも必要ではないでしょうか。