市民ランナーの方がタイムを縮めよう、走るスピードを速くしようとした時に脚を速く動かそうとするケースがよく見られますがいくら脚を速く動かしてもランニングスピードはそれほど上がりません。
速度は距離÷時間で求めます。
小学校の算数で教わる計算ですが、ようは、“時間当たりの体の移動距離”ということですから脚を速く動かしても体が前に進まなければランニングスピードはゼロのままです。
ランニングスピードは「ピッチ(脚の回転速度)×ストライド(体・重心の移動距離)」によって決まりますが、マラソンの場合、トップレベルの選手でも1秒間3.3〜3.4歩くらいです。一般のランナーはだいたい1秒間に3歩くらいですから短距離のような速いピッチは必要ありません。
そう考えると今のピッチのままで今よりストライドを1cm広げる、1歩でも少なくゴールに到達できればランニングスピードは上がるということになります。
ストライドというとよく脚を大きく前に出して歩幅を広げようとするケースが見られますが、脚を前に出ても体は前に進みません。
また、脚を前に大きく出すような走り方だとつっかえ棒のようになってしまい体が前に進もうとするのをブレーキをかけてしまいます。さらに、そのつっかえ棒を乗り越えるために太ももの筋力を使ってしまいます。
余計な筋力を使ってしまえば最後まで筋肉のスタミナがもたず、脚が動かせなくなってしまいます。
体を前に進めるようなイメージにするとこけないように脚は反射的に前に出てきます。
それを“脚がついてくる”と私は表現しますが、反射的に脚が前に出る時に余計な筋力は使いません。
こういう使い方だと筋肉のスタミナを長持ちさせることができます。
走るというのは両足が地面から離れています。つまり“跳ぶ”ということです。
マラソンは何時間も跳び続ける競技ということです。
ストライドを伸ばすためには跳ぶ力が必要ということです。
走り方をスムーズにすることはもちろん大事ですが、それだけで速く走れるようにはなりません。
速く走れるようになるには、速い動きをしたりストライドを伸ばすような“速く走るためのトレーニング”も並行して行うことも必要です。
実際、そういったトレーニングをしている市民ランナーの方の多くが以前よりストライドが伸び、スピードがアップして1kmのベストタイムが速くなっています。
速く走れるようになることで楽に走った時のスピードも自然と上がって“楽に速く長く”走れるようになりました。
今より速く走りたい、タイムを縮めたいという方は走るスピードの考え方を変えて、練習だけでなくトレーニングも並行して行ってみましょう。