「腰が痛いんですけど腹筋運動で鍛えた方がいいんでしょうか?」という質問がよく届きます。
腰痛の人は腹筋が弱いから鍛えるように病院で指導されることもあるようですが、一方で腹筋運動(上体起こし)を繰り返すことが腰痛の原因になるから禁止するという通達が出たというのが話題になりました。
そもそも仰向けに寝たところから上体を起こすような腹筋運動で鍛えた腹筋が立った時のどんなことに役立つのでしょうか?
トレーニングの原則には「特異性の原則」というものがあります。
上体起こしの腹筋運動をすれば上体起こしの動作は力強くなりますが、それ以外の直接効果はありません。
仰向けに寝て腹筋を鍛えたところで立った姿勢を保持するという面ではほとんど役に立たないということです。
今まで腰痛で悩んでいる方のトレーニングを何人も指導してきましたが上体起こしのような腹筋運動を全くやらなくてもほとんどの人が良くなりました。
腰痛を解消するために必要なことは筋力の強さのバランスではなく、“緊張のバランス”です。
筋肉を鍛えなくても立つために必要な最低限の筋肉の緊張のところで揃えれば体の捻じれや猫背のような姿勢も自然な良い姿勢に戻ります。
重力に対してきちんと立てるようになれば腰にストレスをかけるようなこともなくなれば結果的に腰の痛みも解消されます。
緊張のバランスを整えるために必要なことは筋肉を鍛えることではなく、“ゆるめる”ことです。
ちなみに、腹筋運動も上体を起こす時に腰が反ってしまうなど、その動作で腰に大きなストレスをかけてしまうというような人の場合は中止した方がいいと思いますが、痛くないのであればやりたければやればいいと思います。
年齢を重ねていても上体起こしをやっても痛くない人はいますし、10kgの重りを持ってやっても痛くないという人も当然います。
6パックの腹筋を作るにはこういう腹筋運動も必要になってきます。
腹筋運動が良い悪いの前に、「何のためにそんなことをするのか?」ということを考えることが必要で、腹筋運動=仰向けに寝て上体を起こす運動ではないということです。