運動が苦手という人からこういう相談をされますが、1度に1つしか意識できないのは当たり前のこと、1度にあれこれ意識しながらスムーズに動けるような人の方はほとんどいません。
歩き方を例に考えてみても一般的によく行われる指導というと、
・姿勢は背筋を伸ばしてお腹を引っ込める
・腕は肩甲骨から引くように
・歩幅は大きく
・着地は踵からでつま先で地面を蹴る
というようなものです。
実際にこれらを同時に意識してやってみるとスムーズには歩けません。
まるでロボットのようなぎこちない動きになってしまいます。
スムーズに歩いている人の動きを細かく分析してみると上に挙げたようなことが見られるということです。
歩き方を細かく言えば歩こうとしてしまいます。
姿勢を作ろうとする、腕を振ろうとする、脚を大きく動かそうとする、それは筋肉の緊張に繋がります。
意識は動作にブレーキをかけることになりますし、筋肉は使えば疲労します。
そういう歩き方はすぐに疲れる、長くはできないということです。
そうではなく、どうやればスムーズに体が前に進むのかを教えてあげればもっと簡単に疲れずに楽に歩けるようになります。
歩き方以外の日常生活動作、立ち方、イスに腰掛ける・立ち上がる、階段を昇り降りするといったものでも同じようにいろいろなことを同時に意識させるような指導がよく行われますが、1度に1つしか意識できないから、どこにポイントを置いて動くと一番スムーズに全身が動くのか、求める動きができるのかをよく考えてどうすれば楽に立てるのか、楽にしゃがんで立ち上がれるのか、階段を昇り降りできるのかということをアドバイスすれば特別難しい意識をしなくてもできるようになります。
できないようにやっている、やりにくいようにやっているからできない、やりにくいだけ、できるようにやる、やりやすいようにやれば簡単にできるという当たり前の話です。