100m、200mのようなスプリントではスタートダッシュを大事にするという考え方もありますが、陸上のもっとも短い距離でも100mですから、いくら30mが速くても残り70mが遅ければ100mを速く走ることはできません。
また、トップスピードに乗ってしまうとあとは減速しかありません。
トップレベルのアスリートでもトップスピードを維持できるのはせいぜい2秒程度です。
そう考えると速い段階でトップスピードに乗るのが本当に正しいのかという考え方も出てきます。
速く走るとなると、「加速」、「加速度」というのが重要になってきます。
一般的には加速というとスタートで勢いよく出た後に脚をパ・パ・パッと素早く脚を前に出していく動きがイメージされますが、100mは、
・スタートは飛び出す
・6歩までは後方へ押す(時間は長く)
・一歩ずつストライドを広げていくイメージで
・中間疾走からは意識を後方のプッシュから膝、腕を前へ前へ持っていくように変える
・トップスピードに乗ったらリラックス(トップスピードを維持するため)
・ラストは力まない(できるだけ減速しないため)
といった感じで走っていきます。
200mの場合は100mで加速して100m維持という考え方になります。
昨日は県総体の200mを見てきましたが、女子で優勝した選手のタイムは24秒22
スタートしたら1歩1歩ストライドが大きくなりながら加速してスピードに乗ってその勢いを利用し、できるだけ減速を小さくするためにリラックスして走っているように感じます。
予選、準決勝では最後に流すように走っていましたが、それでも手脚の動きのリズムは変えずにリラックスしていますから減速はかなり小さく、軽く走っているように見えてもゴールまですーっと駆け抜けていきます。
一方で26秒、27秒台のタイムの選手は飛び出しはいいですが、すぐに脚を一生懸命動かすような感じで加速してスピードに乗っていく雰囲気がありません。
残りはどんどん減速しながら走っていかないといけないのでトップの選手が流して走っているよりも一生懸命走っているのにスピードが遅いからどんどん離されてしまっていました。
他の選手はスタートしたら体がすぐに起き上がってブレーキをかけるようになるのですぐに止まってしまいますが、トップの選手は楽に100mくらいまで進んでいきます。
一生懸命進んでいる雰囲気はなくリラックスしています。
なかなかタイムが伸びないという人はスタートで勢いよく飛び出すことばかり意識しないで、徐々に加速していく、スピードに乗っていくという意識で取り組んでみてもいいのではないかと感じました。