たまたま予定が空いたので陸上の県総体を見てきました。
ちょうど今月初めに北海道でランニング指導の勉強をしてきたところなので実際に選手の走っている姿を見ることは動きを見る練習にもなります。
長距離は男子5,000mで留学生の選手が14分2秒28の大会新記録で優勝しましたが、下位の選手がラストスパートで頑張って走っているスピードと同じスピードでトップの選手は4,600m走っています。
その時点でずいぶん差が開いていましたが、最後の1周はさらにペースが上がりますのでさらに離れていきます。
速く走る選手と遅い選手は走っている雰囲気からして全く違います。
だいたいの選手がスタートした時点から肘を90度に曲げて後ろに引くようにして腕を振り、意識的に背筋を伸ばして走ろうとしているせいか上体が後傾させ、腰が落ちたような形で走ります。
前に進まないといけないのに腕も上体も意識は後ろになってしまっているので前に進むためには余計な力、エネルギーを使わないといけません。
そんな走り方では当然速く走れません。
トップの選手は最後の1周までは意識的に腕を振ることなく、肩のあたりに置いてリズムを取るのに使っています。
そしてラスト1周で、後ろに引くのではなく顔の前まで手が来るくらい前に大きく振っていきます。
それによってストライドがさらに広がりどんどんスピードが上がっていきます。
腰の位置は高く、体を前に進めていくように進んでいくので上体は自然と軽く前傾しています。
意識的ではないところがポイントです。
ブレーキをかける動作や余計な力を使うような無駄な動きがほとんどないので体がどんどん前に進んでいきます。
むしろ全く力を使っていないように見えます。
だから長距離を走っているのに辛そうな感じはなく、気持ちよく走っているような雰囲気が伝わってきます。
これだけはっきりとスピードに差が出てしまうと長距離だから持久力を高めてとか、目指すタイムの平均ペースで走るような遅いスピードの持久力を高める練習から考え方を変えて長距離でも基本のランニングスピードを高めるような練習に取り組む必要があるように感じました。
スプリントでは女子100mで向かい風が1m以上吹く中で11秒75の大会新記録が出ました。
スタートの前の練習でほとんどの選手が最初の6歩ですぐに上体を起こしてしまってスピードに乗れず20〜30mくらいしか進まないのに対して優勝した選手はスタートしてからの6歩でも体を起こさずしっかり加速してスピードに乗り、そのままの勢いで60〜70mくらいまで楽に進んでいきます。
帰りはスターティングブロックのように押すものないのに3歩くらいの加速ですーっと気持ち良さそうに進んでいきます。
その数歩の加速を見ただけで勝負の結果はだいたい予想できましたがスタートして10mで抜け出して後は他の選手を置き去りにしてしまいました。
一方で男子の100mは予選からフライングを連発し失格になった選手もいました。
タイムは決勝で10秒9台が出ましたが、予選・準決勝では11秒台のタイムです。
スタートで出遅れたくない、良いスタートを切って速くトップスピードに乗りたいのかもしれませんが陸上でもっとも短い距離でも100mです。30mで終わりではありません。
10秒台ならともかく11秒台のタイムならスタートの0コンマ何秒のことばかり気にするよりも、多少出遅れても気にしないでそこから加速してスピードに乗っていくことを大切にした方が良いのではないでしょうか。
選手たちが走っているところを実際にみて改めてスプリントにしても長距離にしてもランニングスピードを高めることが大切だということを感じました。