スクワットをしたら速く走れるようになる?

速く走っている人は走る練習だけでなく「トレーニング」も必要ですが、ほとんどの人は筋力がアップすればランニングスピードもアップすると思って筋トレを行います。
ランニングについての本や雑誌などを見ても、「自体重の負荷でスクワットを20〜30回を3セットやりましょう」なんて書いてあったりします。

しかし、自体重くらいの軽過ぎる負荷で20〜30回やったところで筋肉が強くなるようなことはありません。
強くなるどころか速筋は細くなってしまいます。

それならと重いバーベルを担いで10回がギリギリくらいのきついスクワットをやって速く走れるようになるかというと、そういうわけでもありません。

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スクワットをやってもスクワットがうまくなる、強くなりますがランニングパフォーマンスを左右するのは『ランニング動作』です。
走り方が悪ければいくら脚力を強化してもランニングパフォーマンスは高まりません。

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ランニングのタイムを良くしたいという人からの相談も来ますが、ランニングフォームに改善点がある人の方が多いです。

腕を一生懸命振ろうとしていたり、脚でしっかり地面を蹴ろうとしていたり余計な力を使い過ぎています。
筋肉は使えば必ず疲労します。
筋肉の疲労が限界まで達すると筋肉は伸び縮みできなくなります。
そうなると脚を素早く動かすことができなくなります。
最大筋力が上がれば筋持久力も上がりますが、筋肉を大きくすれば体重が増えるのでスピードは低下してしまいます。
そういう意味でも筋肉を大きくして長く保つようにするというのはあまり効率が良いとは言えません。

脚を意識的に使わない走り方をして筋肉の疲労を軽減できれば長く保たせることもできます。
そのための方法として『重心移動』のイメージで走る指導をします。
余計な力が入らないので手脚の動きもスムーズになり、ピッチもストライドも自然と良くなりランニングスピードが上がります。

スクワットも行いますが体幹や脚の筋力強化というよりも姿勢・体のバランス、足裏の体重のかけ方の修正を目的として行います。
姿勢・体のバランスが良くなれば前に進む感覚がさらに良くなりますし、足裏全体に均等に体重がかけられるようになることで着地のストレスを下半身全体に分散できるようになるのでふくらはぎや太ももの疲労の軽減、下肢の障害のリスクを下げることもできます。

スクワットをすることが意味がないわけではないですが、筋力が高くなれば速くなるというほどランニングは単純ではないので、なんのためにやるのかをよく考えることが大切です。