「正しい歩き方をしているはずなのにスムーズに歩けないんです。」という相談

人間日常生活の中で何気なく行なっている『歩く』という動作も最近ではたくさんの『正しい歩き方』というものを見たり、聞いたりします。

先日もテレビを見ていると『お腹を引っ込めて、大股で、踵から着地して、肘を伸ばして、二の腕を大きく振って歩く』という正しい歩き方が紹介されていました。

実際にこれを意識して歩いてみた出演者は手と脚が同時に出てしまっていました。
何も考えなくても人間は右脚が出れば左腕が前に出てくるし、左脚が前に出れば右腕が前に出ます。
それなのに、手と脚が同時に出てしまうような難しい歩き方が正しい歩き方?

指導することには基本的に『目的』があって、そういった動作をやらせるわけですから、間違ったものというものはありません。
しかし、歩くという日常生活で当たり前にやっていることをそんなに難しくする必要はないのではないでしょうか。

『動作中に意識できることは1つだけ』です。
お腹を引っ込めて、大股で、踵から着地して、肘は伸ばして、二の腕は大きく振って・・・1度に5つも意識することがあれば上手くできなくても当たり前です。

もう少しシンプルに考えてみれば簡単に良い姿勢で歩くことはできます。
お腹を引っ込めるのではなく、重心の位置を引き上げればお腹引き上がり、腹筋を使えるようになります。
脚を前に出すから、腕を振るから身体が前に進むわけではなく、胴体が前に進めば自然と手脚がついてきます。

『こうでないといけない』と頭が硬くなってしまうと身体の動きも硬くなってしまいます。
『適当に』、『良い加減で』リラックスして歩いてみてはどうでしょうか。