体幹トレーニングはなんでも叶えてくれる魔法のトレーニングではない

『体幹』というフレーズは一般の方でも知っている方も多いと思います。
姿勢改善からアスリートのパフォーマンスの向上といった効果が本や雑誌などでも紹介されています。

あるケースではお腹周りをそのように呼ぶこともありますし、胴体部分をそう呼ぶこともあります。
『体幹』に科学的な根拠に基づく明確な定義はいまのところありません。
つまり指導する人の考え方次第で定義が全く違うというケースもありえるのです。
ただし、どれも間違いではありません。

体幹と言うと腹筋、背筋、インナーマッスルの腹横筋あたりのイメージが強いですが、、私は『首から骨盤(仙腸関節)』までを体幹としてイメージしますのでそれに含まれる全ての筋肉が体幹と考えます。
そして、一般の方にとって必要な体幹の強さは『自然な良い姿勢を保持する』ことで、筋力だけでなく脊柱の柔軟性が必要だと考えてトレーニングしていきます。

良い姿勢を作る上では土台となる骨盤を良い状態で安定させることは欠かせませんし、肩こり、腰痛を根本から改善するためには頭を良い位置に置いておくことは重要です。
そのためには脊柱の自然なカーブを維持することも大切です。

本や雑誌だけでなく、ネットの動画などでも体幹を鍛えるエクササイズを見ることができますが、紹介されているエクササイズを見てみると簡単なものから難しそうなもの、仰向けやうつ伏せで腹筋、背筋を行なったり、ドローイン(お腹を凹ます)しながら何かをするようなエクササイズまで様々なものが見られます。
また、体幹を鍛えればダイエット、姿勢改善、腰痛改善、スポーツパフォーマンスアップなどどんな要望も叶えられると思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、方法ありきでは必ずしも目的を達成することはできません。
やはり目的に合った方法を選択することが大切です。
体幹さえ鍛えれば万事O.Kというようなことはありません。

『1つのエクササイズは1つの効果しかない』のです。
腹筋、背筋といったお腹周りの筋肉だけを鍛えても全身で発揮する力が大きくなるわけではないですし、仰向けやうつ伏せなど寝た姿勢で行うエクササイズをしたところで寝た状態で発揮する力は大きくなっても立ったり、座った状態で大きな力が発揮できるわけではありません。
もちろん競技のパフォーマンスが上がるわけでもありません。

日常生活ではほとんどの時間を座位や立位で過ごしますし、競技にしても寝て行うようなものはほとんどありませんから、座位や立位でのエクササイズを行う必要があります。
体幹だけ使って何かをすることはありません。
常に全身を協調させて使っているわけですから、トレーニングも体幹と上半身、下半身を繫いで行わなければ姿勢の改善、競技パフォーマンスの向上は期待できません。

日常生活で行う動作を考えてみると、立つ、歩く、しゃがむ、立ち上がる、階段を昇る、降りる、荷物を下から持ち上げる、下ろすといったものです。
そうなると、その動作がきちんとできれば姿勢が崩れることもなくなりますから、『スクワット』、『デッドリフト』は立派な体幹トレーニングです。
もちろん教科書通りのやり方をそのままやらせるのではなく、どのようなやり方でどのくらいしゃがむのかなどを目的、相手の身体的特徴に合わせて考えなければなりません。

競技にしても、姿勢改善にしても結局のところ、『それが何の役に立つのか?』ということを考えて相手にやらせなければ思うような効果を引き出すことはできないということです。

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