陸上の100m,200mの選手を見るとどの選手も筋肉がほどよく付いた良い体格をしています。
解説を聞いていても「体幹が強いから走りがブレませんね。」などと言っています。
そうすると、「速く走るためにはどんな筋肉を鍛えたら良いか?どんな筋トレが効果的か?」と考える人も多いようです。
あの見事な体格を見せられれば筋肉を鍛えれば、筋力を高めれば速く走れるようになると思ってしまいますが、筋力が上がれば必ずランニングスピードが向上するとは限りません。
筋トレは筋力を高める手段の1つに過ぎません。
筋トレをすれば確かに筋肉が大きくなって大きな力を出すことはできます。
しかし、その高めた筋力をうまく扱う、使いこなせなければパフォーマンスの向上には繋げることはできません。
速く走れるスポーツカーを持っていても、初心者マークをつけた初心者が運転すれば速いスピードで正確に操縦することができないというのと同じようなものです。
スポーツカーを操縦できるだけの技術がなければどんなにすごい性能を持っていてもその力を引き出すことはできないということです。
ランニングの場合、その『技術』というのは、『走り方』です。
速く走れるようになるために必要な効率の良い動き、スムーズな動作、身体の使い方を身につけなければならないということです。
話題の高校生、サニブラウン選手の『速さの秘訣』というのを朝の情報番組でやっていましたが、彼は100mを43歩で走るそうです。
単純に計算して1歩のストライドは約2m30cmということになります。
ちなみに世界記録保持者のウサイン・ボルト選手は1番少ない時には40歩で走ります。
そのストライドは2m50cmにもなります。
つまり、速く走るためには『いかに最大の脚の回転で大きなストライドで走るか』ということです。
極端な話をすれば、筋トレをする前に『走り方』を見直してみればもっと効率良く速く走ることができるかもしれませんよということです。
そのためには『練習』が大切だということです。
トレーニングによって基礎的な体力が伸びれば走る時に大きなストレスにも強くなりしっかり練習が積めるようになるという効果も期待できます。
練習にしっかり取り組むことによって走るために必要な技術を伸ばすことができれば、ランニングパフォーマンスの向上も期待できます。
スクワットをやろうがうつ伏せや横向きでじっとするようななんちゃって体幹トレーニングもあくまで『補強運動』に過ぎません。
補強は練習でできないこと、つまり、基礎体力作りのための手段に過ぎません。
速く走れるようになりたいなら、まずは練習をしっかり積み重ねて自分の持っている能力を十分引き出すことができるようになることです。
そして足りない要素がはっきりわかればそれを高めるために適切なトレーニングを行えば良いだけのことです。
そうすればやっても効果が出ないトレーニングをするような失敗もしないはずです。