ボルト選手の走り方からわかる速く走るためのポイント

先日ボルト選手のランニングフォームを詳しく解説しているテレビ番組が放送されていましたが、その動きを見ると参考になるものがたくさんありました。

一般のランナーの中にはまだまだ後方へキックして前に進むようなイメージで走る人が多いですがボルト選手はそのような脚の使い方はしていません。

地面に対して踏み込んでいきます。(ひざ下は前に振り出されますが、着地の時には戻ってきて体の真下付近に足が来ます)

真下に踏み込むことで地面からの反力が生まれ、その反力は前方へ進む力に変わります。
バイオメカニクスの研究では垂直方向に伝えられる力の大きさは体重の4倍ですが、地面を後方にキックすると体重の0.8~1倍くらいの力しか生まれません。
ランニングは前方へ早く移動するものですが、前方へ進むための力の発揮の仕方は後方ではなく、垂直方向ということです。

ボルト選手のような脚の回転の速さで走っているときちんとフラットというわけにはいきませんが動きのイメージでは垂直方向に踏み込むようなイメージが伝わってきました。
ボルト選手のふくらはぎを見ることができましたが、あれだけ太ももが大きいにも関わらず細いふくらはぎをしています。
つまり足首をほとんど使っていない、ふくらはぎの筋肉ではなくアキレス腱のバネを使って跳び上がっているということです。
足首を底屈、背屈させるような走り方だと地面からの反力もうまく利用できませんし、ふくらはぎの筋肉が大きくなってしまい、それが重りになってピッチを遅くしてしまいます。

それからストライドを大きくするために腿をしっかり上げたり脚を前に大きく出して走ろうとする方も多いですが、一生懸命腿を上げようとする、前に出そうとすると太ももの前の筋肉が余計に使われます。
100mも持久力が必要ですが、意識的に筋肉を使うと筋肉を動かすエネルギーがすぐになくなってしまって脚が動かせなくなります。
後半になるとピッチが遅くなったり、ストライドが出なくなるというケースは意識的に脚を動かそうという意識が原因だったりもします。
またそういう脚の使い方で走ると脚は回転運動にならないのでピッチも上がらないしストライドも伸びません。
一生懸命やらなくても股関節や膝関節の力を抜いてフラットに踏み込むことで楽に股関節・膝関節を屈曲することができ、膝を前方に引き上げやすくなります。
ボルト選手は接地してから股関節を伸ばす動きを使っています。
速く走れる選手は腸腰筋が太いということがよく言われますが、この筋肉は足が地面から離れる瞬間の最も働きます。
ようは股関節を伸ばす動きを使って走っているから腸腰筋が太いのです。
また股関節を伸ばす動きは腸腰筋をストレッチする動きになります。
筋肉は伸ばされると反射的に縮もうとします。
そうすれば自然と脚は前に出てくるようになりますし、脚の動きは回転運動になります。
なのでボルト選手の走りを見ると体の前よりも後ろで踵がお尻を叩くくらい大きく巻き上げる動きが見られました。

そのような脚の使い方をするボルトのストライドは2mを余裕で超える広さでした。(脊柱側湾症があるので左右のストライドに20cm違うようでしたが・・・)

腕振りは一般的には「肩甲骨から動かすように」、「肘を引くように」とよく言われますがボルト選手の腕振りは真逆です。
あれだけ大きな筋肉をした重り腕を速く、顔の前に来るくらい、前に高く大きく振っています。
スプリントでは腕振りは推進力を生むためのとても重要なものです。
また、脚を意識的に使うと筋肉のスタミナが早く切れてしまって大きく減速してしまいます。
脚はできるだけリラックス、無意識にしておきたいわけですが、そのためには腕振りのリズムが重要になってきます。
そのように見えたとしても意識的に肩甲骨を動かしたり、後ろへ引くようなことはありません。
自然に、速く、楽に、スムーズに動かした結果そのように見えるというだけです。

スプリントにしてもマラソンにしてもランニングのスピードはピッチ×ストライドで決まります。
そのどちらかを高めれば今よりスピードは上がります。

確かに筋肉の質など言い訳を探せば世界の選手との違いはたくさんあるのかもしれませんが、こういった速く走るための走り方、体の使い方は参考にするべきだと思います。

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